昨年の後半以降、世界を取り巻く様相が一段と大きな変化の流れに入ったと感じています。数年前から危惧されていた穀物をめぐる「食とエネルギーの争奪」が顕在化し、石油価格の高騰とあいまってあらゆる物の物価上昇は、市民生活を大きく脅かしています。その背景に投機マネーが飛び交っていることは、誰もが認めるところでありますが、それをおさめるための有効な手段が見出せずに、手をこまねいているのが現実です。またアメリカの低所得者向け住宅ローン問題に端を発した住宅バブル崩壊の影響は、アメリカのみに留まらず、全世界に金融不安を生み出しています。投機マネーの跋扈と金融不安は大恐慌の序曲のようにも聴こえます。
日本においても、構造改革路線がもたらした格差の拡大は大きな社会問題となりつつあり、いわゆるワーキングプアという造語まで生まれるようになっています。行き過ぎた市場原理主義がもたらした格差問題に象徴される「ひずみ」は、日本が本来有していた絶妙な地域コミュニテイや家族のつながりをも蝕み始めています。我々が深く関与する「食」の領域におけるさまざまな不祥事や事件も、これらの流れに起因すると言っても過言ではないでしょう。食品の偽装問題も中国産餃子問題も、不健全な体質によってもたらされる病気の顕在化であり、本質的な体質改善を計らないかぎり、行き当たりばったりの対処療法に翻弄され続けることは明白です。
不健全な体質の改善にはあらゆる分野での価値観の転換が必要ですが、「地方」と「食」に視点をおいた場合、我々農に携わる者自らが、「新たな価値観の提起とそれに基づく実践の方途を示していく当事者」であるという覚悟が必要な時だと感じています。
マルタとしても、この33期は中期3ヵ年計画の最終年であると同時に、新たな計画策定の年にあたります。計画の基本となるキーワードをいくつかあげると、@地域活性化のためのビジネス創造の支援、A消費者に支持される作品作り、B市民と連帯した自給率の向上、C自然循環機能のさらなる活用等です。
今後さらにみなさんと協議を深めながらマルタの進路を定めてまいりますが、時代状況は確実にマルタが今まで推進してきたことの追い風となっています。その勢いをバネに、各自がそれぞれの立場で地域や日本の食と農の精神の構造改革に貢献していこうではありませんか。「作り改め、食べ改める」ことなくしてこの国の未来はないと考えます。
