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「生き残りを賭けて」

株式会社マルタ  代表取締役会長 鶴田 志郎

アメリカ大手の金融グループ、リーマンブラザーズの経営破綻に始まり、10月は連日、世界株価の暴落のニュースが続いた。10日の紙面には世界金融恐慌の文字が踊り、11日に主要先進国(G7)の会議がワシントンで開催されると、週明けの13日の株価は高騰。それまでの2週間に暴落した値の半分ほどを戻す結果となり、回復に向け一応の方向性が出た。しかし、世界中で株価が一時的に回復することがあっても、実体経済は当分下降し続けると考えられる。今後も動向から目が離せない。

金融や株価などに特に個人的な関心があるわけではないが、消費、企業業績や雇用は悪化し続けると予想されることから、直近の動きがどのように私たち農業関係者に影響するか愚見を述べてみたい。

新聞等でも言われているが、アメリカのサブプライムローンに端を発した不況の波は今後一気に世界中に広がり3〜5年ほどは続くと思われる。消費者の財布のヒモは堅くなり、小売や流通は売上低下、収入減少に苦しむようになる。その結果生産や製造部門にも単価引下げや販売数量の伸び悩みとして波及し、収入も減少しかねない。

今回の不況は農業経営においても悪影響を覚悟せざるを得ず、経営維持に最大の努力を傾注すべきことは当然である。日本の農業は、構造的な従業者の高齢化という条件下で、現在進行する農業生産コストの上昇と単価安の時代に突入している。

その結果おそらく10年程で徐々に農家数減少が進むだろうという予想が、今度の不況も含め3〜5年に短縮される形で急進展することになろう。当然一時的に自給率も低下するだろうし、政治や行政も消費者の声に押されて自給率向上策の強化、農業再生支援に動かざるを得なくなると考えられる。

農業経営体にとっては、これら予想される動きは追い風であり、技術力や販売力、経営力に秀いでた者が今後の日本農業の中核として農業経営の拡大を期待されるだろう。つまり、これら3〜5年の不況に生き残った者にとっては、経済面でも社会的地位の向上という面でも評価が高まる時代が到来すると予想される。最近の世界や日本の政治・経済の激動は見方によれば、私達の身近な日本農業を望ましい形へと進ませる序幕と見ることもできる。

各々の経営維持に最大限の努力を払い、政治・経済の動向に注意し、世の中の進む方向をともに共有・確認し合うことが重要だ。そして、直近の農産物価格の低迷を各自の経営体とマルタで協働して乗り切り、来るべき新時代の農業再構築に実績をたずさえて、先導的に参画していこうではないか。

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