
株式会社マルタの発足時(36年前)に参考にした組織は、アメリカのサンキスト社であった。同社はカリフォルニア州やアリゾナ州の柑橘生産者が応分に出資し、生産者が運営、経営する株式会社(当時)である。マルタは現在、資本金1億7700万円で、130の生産者グループ代表や個人の株主で組織されている。
今年も6月11日に、東京・外神田の通運会館において、議決権数82%の出席で定時株主総会が開催された。議長に代表取締役・佐伯昌彦社長を選び、主に決算に関する議案について説明、質疑応答の後、原案どおり可決され、約1時間半で終了した。
決算の概要は、売上高43億6900万円(前期比105%)、経常利益3800万円(同180%)と好調であった。
総会終了後、遠隔地からの出席者もあり、約2時間にわたって各地の農業情勢やマルタの運営、販売等について意見交換し、散会した。
この2、3年の全国の農業情勢は、一部の恵まれた品目や産地もあったと思うが、総じて生産者に厳しい状況が続いている。不況や消費不振を理由にした市場価格の下落が続き、特にそのしわ寄せが倍加されて生産者に押し寄せてきている。加えて農家の高齢化は65歳以上の従業者が3分の2を占める異常事態にまで進展し、待ったなしの対策が求められている。また、1990年に6・1兆円あった農家の総農業所得が、15年後の2006年には3・1兆円と半減しており、農村の過疎化の進行、活力の低下は誰の目にも明らかである。
参議院議員選挙が公示されている。消費税等の増税による国家の財政再建や景気、年金、公務員制度改革など課題は多いが、農村、農家の関心事は、水田モデルの戸別所得補償制度の評価であろう。初めての本格的な欧米先進工業国並みの直接支払制度の実施段階に当たって迷いやいくつかの課題を抱えるのは当然としても、栽培農家や農村にお金を回して不均衡を是正し、政局に関係なく活性化を急ぐ方向で一定の成果が出るような施策の実現を希望したい。
2007年、「食料・農業・農村基本計画」が策定されたが、残念ながら農業所得の減少、担い手の高齢化、耕作放棄地の増加等の厳しい状況は変えられなかった。

2010年3月に策定された新しい「食料・農業・農村基本計画」は、食料・農業・農村政策を「国家戦略」の一つとして位置づけ、食料の安定供給と農業・農村の多面的機能はすべての国民の財産であり、都市住民もその恩恵を受けていることを一人ひとりが理解し、将来に向けて生産者と消費者がともに支えあう形で「国民全体で農業・農村を支える社会」の創造を目指すことを打ち出した。戸別所得補償はその一環である。水田モデルは経営維持への第一弾であり、今後有機農業支援策である環境支払などの政策が実施に向けて検討される計画である。他にも「2020年に自給率50%」を不退転の目標に掲げ、生産調整から販売・出口調整へ、また補助から融資へ、等の基本方針が盛られた。
お金さえ払えば外国からどれだけでも食料が輸入できる時代ではなくなった。高齢化した農業従事者が急激に退場したら、自給率はどうなるのか。日本農業は過保護だといわれ続けていたのにどうして耕作放棄地が増え、新規就農者が増えないのか。外国の農業支援策は本当はどうなっているのか。日本のエンゲル係数は高く、食費関連支出も多く年間65兆円にも上っているのに農家手取りが3兆円とは本当か。などなど、オピニオンリーダーといわれる消費者や一部の国民は、日本農業の本質に気づき始めている。政府の施策も遅ればせながら回り始めた。
マルタグループはこれまで助成金に頼らず、経営的に自立し、その上、土づくりに注力し、生産管理記録を徹底してきた。それは利用者の安心につながり、消費者や社会の健康に寄与し、持続可能な農業の実践者の先頭グループとして活動してきた。その結果が評価される時代の足音が確実に強まり始めている。
総会を機に「マルタグループの出番近し」を感じるこのごろである。
■第34期定時株主総会報告
去る6月11日、午後1時30分より株主総会が開催されました。
鶴田志郎会長の挨拶にはじまり、議長である佐伯昌彦社長から第34期の事業報告を行いました。営業の概況について、昨年は夏季の長雨以外は大きな自然災害もなく順調な生産だったこと、当期の課題についての報告の後、営業成績を説明しました。
決議事項である第1号議案・決算承認に関しては、議長の指示に基づき事務局が決算内容を説明したのち、議長が議場に諮ったところ、異議なく全員一致で決算案が承認されました。
委任状出席の皆さま、遠方からお越しいただいた株主の皆さま、ご協力ありがとうございました。
